環境学習&韓国から学校の先生が視察
開催日:2010年1月18日13時45分~15時25分
対象:上野小学校 4年5組
講師:京都大学 地球環境学大学院 環境マネジメント専攻 伊与田昌慶さん
場所:上野小学校 4年5組教室
環境学習の様子
上野小学校の4年生は、総合学習の時間を使い、4月から環境についてさまざまな学びを行っています。テキストだけでなく、ゴミ収集場を見学に行ったり、ゲストティーチャーを招いてお話しを聴いたり環境のことを考えるような体験をしています。
今回の授業は、その中の一つ。12月にデンマークで行われたCOP15に実際に参加された伊与田さんを招いて、国際的な環境へのとりくみについてやCOP15での様子を教えてもらいました。また、この日は韓国からたくさんの先生方が上野小学校の授業を視察に来られ、伊与田さんの授業も熱心に見学されていました。
★COP15とは
COPは、締約国会議(Conference of the Parties)の略です。15は、この会議が15回目ということ。COPは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)を受けて設置された会議で、年に一度、各国の気候変動問題に関わる省庁の大臣や官僚、首脳が集まり、話し合います。2009年のこの会議は、12月7日から19日までの2週間にわたり、デンマークの首都コペンハーゲンで行われました。
★ユネスコスクール
紛争や貧困、環境などの地球的課題について世界中の児童・生徒、教師が交流を深め、情報や体験を分かち合うことを目的に設置されました。現在、世界の178の国と地域、約8千500校が加盟しています。豊中市では、上野小学校と新田小学校、第十一中学校が加盟校として認定されました。世界各国の加盟校の子どもたちや教師などとの交流により、海外の文化を学ぶ一方、日本の文化を学習・発信し、意見交換を通じて共通の課題を学び考える中でコミュニケーション力を育てる、といった取組みを通じて、ESD(持続可能な開発のための教育)の視点を取り入れた国際教育を進めていきます。
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四年生の校舎の入り口には、韓国語の挨拶が書かれていました。 | |
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伊与田さんの授業の様子 |
子どもたちの感想
(アンケートより)
★わかったこと★
●途上国と先進国との意見は全然違って、まとまり約束するのは難しいこと
●地球温暖化が進むと取り返しがつかなくなる
●今生きている人に関係があるのは知っていたけれど、将来まで生きるこれからの人生の人たちにこんな負担があるなんて初めて知りました
★一番心に残ったこと★
●COP15に約200カ国から約4万人の人が集まってCO2のことを考えている
●COP15では全部解決したと思っていたけど本当はちょっとしか解決できなかった
●地球温暖化の原因であるCO2を減らしたらいいけど一つの国が減らそうとしても他の国が対策をしていなかったら地球温暖化が防げないこと
●地面はつながっていないが空はつながっているため、どこかの国でCO2がたくさん出ていたらCO2が出ていない国にも影響を与える
★すべての国が地球温暖化の解決のために協力するためにはどうすればいいと思いますか?★
●今まで言ってきた意見をもう一度考えてみる ・みんなで考えて答えを一つにしたほうがいい
●先進国がCO2を減らせば途上国の人たちも協力してくれると思う
●まず意見を聞く。それでみんなが納得するためにちょっと我慢したりするのも大切だと思う
●みんなが解決するように話さないと仲が悪くなるので、もっとみんなが解決するような話から話したらいいと思います。
講師の伊与田さんより
今回は、地球温暖化をめぐる国際合意の問題をとりあげました。小学4年生対象の環境学習としては難しく、正面から取り上げられることの少ないテーマです。しかし、地球温暖化に対処していくには、避けて通ることのできないテーマでもあります。
上野小学校の4年生のみなさんはこれまでも環境について一生懸命勉強してきたからでしょう、とても熱心に話を聞いてくれました。世界のことを考えて身近な生活を見つめ直し、行動を変えるきっかけになったのではないかと思います。
子どもたちの質問は、本質をついた鋭いものも多く、私も大変勉強になりました。これからも、大勢の人たちに国際会議での経験をお伝えし、この問題に取り組んでいきたいと思います。
中木校長先生より
(学校全体での授業について) 普段から子ども達には、広い視野を持ち主体的に行動する力をつけようと話しています。いろいろな国の人達と交流することも大変重要であると考えています。
今回は、本や資料で学ぶだけでなく、実際に会って交流することができる貴重な機会となりました。2年生の授業では一緒にゲームやこままわしを、6年生の授業では一緒に合奏にあわせて歌ってもらうなどさまざまな形での交流が行われました。また、4年生の授業ではCOP15と環境問題について国際的な視点から共に考えることが出来ました。
韓国と上野小学校の先生同士の意見交換会でも、教育について熱心な議論が繰り広げられ、もっと時間が欲しいくらいでした。最後は、韓国の小学校と今後も継続して交流していく約束をしました。その場限りの学習ではなく、継続して学ぶことのできるとりくみをユネスコスクールの中で続けていきたいです。
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図書館には韓国の本コーナーもできました | 音楽の授業では、韓国の先生も一緒に歌を! |
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韓国の先生方と交流 | 正面玄関には、大きな看板が掲げられました |
取材を終えて
上野小学校に到着すると、入り口に大きな韓国語の看板が掲げられ、校内も韓国語の挨拶文があちこちに貼られ、普段の小学校とはちょっと違った雰囲気に・・。でも、子ども達はいつもと変わらず元気いっぱい。ゲストティーチャーを迎えるということで、うれしさを隠せない様子でした。
伊与田さんが話し始めると・・子ども達は、真剣そのもの。大人でもなかなか理解が難しい、国際間での環境問題について、アニメーションも入れながらわかりやすい言葉で説明してくれました。国同士の問題を、教室内のゴミ問題に例えたおはなしは、子ども達の共感を呼んだ様子。身近な視点と結びつけて考える力が養われたことでしょう。
後半は、COP15のニュースの映像やクイズも交えながら、楽しく和やかに進められ、韓国の先生方も真剣に見入っていました。今回の授業を通じて、子ども達が普段体験できないことを経験し多く学ぶことができたことはもちろん、講師の伊与田さんも子ども達からたくさんのことを感じられたようです。また、上野小学校の先生方にとっても多様な視点で学び合えた貴重な1日になったようです。
取材日 2010年1月18日
お問い合わせ
上野小学校 06-6841-4021
環境政策室 06-6858-2127
豊中市教育委員会教育推進部教育推進室 06-6858-2759
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