とよなか市民環境会議(会長 豊中市長)では「とよなかエコ市民賞」を創設し、2007年度から市内で環境負荷の低減や、自然との共生、快適環境の創造といった取り組みの中から、継続した活動実績や顕著な功績が認められる団体の活動を表彰しています。今回も、刀根山高校と同じく、「エコ市民賞」を受賞した学校の活動の紹介です。
活動内容
大阪府立桜塚高等学校では、保健の佐藤先生の指導のもと、各クラスから選ばれた男女1名ずつで構成される生徒保健委員会が活躍中です。授業やクラブ活動など忙しい中、毎年「薬物乱用」「ボランティア」などテーマを決めて研究・調査を行い、文化祭や年度末の学校保健委員会で成果を発表しています。
2006年度と2007年度に行った、「身近な環境を考える」アンケート調査の分析結果発表や意見交換、環境問題意識啓発活動は、2009年度の「とよなかエコ市民賞」を受賞しました。
そして2011年度は、焼肉店での食中毒による死亡事故や東日本大震災による放射能汚染などを受けて、「食の安全~食中毒の予防~」をテーマに設定。保健委員の生徒達は、多くの先生からアドバイスを受けながら、インターネット等で食中毒について調べるのはもちろん、豊中保健所を訪ねて文化祭の模擬店出店での食品の取り扱いについて指導を受けたり、校内の食堂の方へインタビューを行ったりと、1年かけて、各々担当する分野について調査研究を進めました。
課題への取り組み
2月9日に行われた、「平成23年度学校保健委員会」を取材して来ました。
「学校保健委員会」には、校長先生をはじめとする先生方や学校医、そして地域代表として研究に協力した保健所の所長や職員と食堂の責任者、さらにPTA代表や生徒自治会執行部が出席し、学校に関わる多くの方が一堂に集まりました。その中で、生徒保健委員の代表8名がパソコンとプロジェクターを使って、研究の成果を発表しました。
まず、生徒達が食中毒の予防方法を紹介。続いて、文化祭模擬店に関わって、細菌の怖さや手洗いの大切さがわかったといった感想や、学食のテーブルに靴を置いたりすることが食中毒につながるなど、食堂の方へのインタビューから学んだこと、最後に「食の安全」に関わる事件や対策について、それぞれ担当した研究・調査結果を順番に発表しました。その後は佐藤先生の司会進行で出席者の感想・意見交換が行われ「中身の濃い内容だった」「食中毒を防止するためのマナーの徹底の難しさをわかってもらえて良かった」「生徒会の発行する新聞でも“食堂のテーブルに靴を置かない”といったマナーについて啓発したい」といった、有意義な発言が相次ぎました。
この学校保健委員会では、生徒保健委員の活動や研究成果を学校関係者に披露するだけでなく、意見交換を通して生徒自治会執行部から「食堂をみんながコミュニケーションできる場にしたい」といったアイディアも飛び出し、新しい展開を生む場ともなりました。
「平成23年度学校保健委員会」終了後に、発表を行った2年生の山之内さん、佐々木さん、山下さん、1年生の山本香澄さん、山本祥弘さん、上岡さんにお話を聞きました。
生徒達は、「この課題に取り組むまでは食中毒は自分とは関係のないことだと思っていたけれど、身近な問題だとわかった」「今まで気にしていなかった賞味期限などを注意するようになった」「焼肉屋で生の肉を食べるのをやめた」「家で料理をするときに、まな板をよく洗うことや食材によく火を通すよう心がけるようになった」といった、日常生活での変化を話してくれました。また、大勢の前で発表する経験が、とても勉強になったようです。
今後も、生徒保健委員会の活動は、生徒が主体的に日々の生活と密接に関わるテーマを1年かけて研究・調査することによって、授業とは違った知識や視点を得て成長でき、また学校生活をより良くする取り組みにつながっていくことでしょう。
取材日 2012年2月9日
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