活動内容

豊中市内に、校内の田んぼでお米を作っている小学校があるということをご存知ですか?かつては田んぼや畑が広がっていたという桜井谷。桜井谷小学校も明治7年創立という歴史をもち、生まれてからずっと桜井谷に住み続けているという70代・80代の卒業生も多数おられる地域です。

校庭に5×10mの立派な田んぼが登場したのは、2007年。元農家で2002年にPTA会長を務めた卒業生の花岡さんが、農業経験のある卒業生に声をかけて完成させたものです。5年生が社会の授業で、滋賀県を訪れて田植え体験をしているという話を聞き、「わざわざ他県まで行って田植え体験しかしないなんて、さびしい。校庭に田んぼを作ったろか?」と言ったのが、きっかけでした。以来「農ある学校」を掲げ、田植えから始まり、水の管理、そして秋の稲刈り、脱穀という収穫を経て、年末にはしめ縄づくりまでを5年生が体験するそうです。そして2月には、収穫したお米で作ったおにぎりを地域の方にふるまう「感謝祭」を開催するのが、桜井谷小学校の恒例行事となっています。

活動の様子

カラッと晴れた10月10日。稲刈りを取材してきました。


生徒たちは15名ほどずつが一列に並んで順番に田んぼに入り、鎌を使って稲を刈っていました。「うわー!ヌルヌルする!」と言いながらも、稲をつかむ表情は真剣そのもの!刈られた稲は、卒業生のみなさんが手際よく束ねていきます。担任の先生も、「もっと泥を嫌がったりするかと想像していたのですが、みんな楽しんでいて、僕たちもびっくりしました」と、感心している様子。脱穀の際も、一気に脱穀できる唐箕(とうみ)よりも、目の前で少しずつ米と籾に分かれる様子が見られる千歯(せんば)こきの方が人気があるのだとか。見学に来ていたお母さんから、「我が家では私の父がつくったお米を食べているのですが、この体験後は”じいじの偉大さがわかった”と言うようになりましたね」というエピソードもお聞きしました。

伝えたい想い

花岡さんたちが田んぼを作ってからずっと活動を手伝っているのは、「私たちの命をつないでいるお米がどうやってできているかを最初から最後まで体験することで、命をいただいていることを知ってもらいたい」「稲は米を食べるだけでなく、わらや肥料になり、ごみになるところがまったくない。稲作体験から『もの』を大切にする心を育んでほしい」という思いからだそうです。北之防校長が卒業生やPTAのみなさんをねぎらっている様子からも、日常的な交流の深さがうかがえました。

この田んぼの取り組みは、桜井谷小学校から転勤した先生が刀根山小学校でも始めており、今後は箕輪小学校にも田んぼが生まれる予定だとか。
一方桜井谷小学校では、今年度から、畑を持つ卒業生の阪口さんと有志の親子で、毎週末大根を種から育てるプロジェクト「桜井谷まなぼう畑」も進行中だそう。「第一次産業を体験してもらえたら」とのこと。収穫後はJA(農業協同組合)で販売も行う予定らしく、ますます気になります。

農から離れた環境で暮らす子どもにとって、貴重な体験ができる取り組みが広がっています。
 

取材日 2017年10月10日

連絡先

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