活動内容

兵庫県伊丹市との市境、豊中市と伊丹市から搬入される可燃ごみを焼却処理する施設に隣接し、不燃ごみの鉄類・アルミ等非鉄類・不燃物の破砕選別処理と、ペットボトル・空き缶類・プラスチック製容器包装・ガラスビンの資源化を行っているリサイクルプラザ〈愛称〉「豊中伊丹スリーR・センター」。ここで、ガラスビン以外の資源化物の中から手選別で異物を取り除く業務を担っているのが、「株式会社きると」です。
「きると」では、豊中市・伊丹市在住の20代から50代の32名の知的障がい者が、正社員としてこの手選別業務に従事しています。

活動の様子


年末が迫ったある日、豊中伊丹スリーR・センターの3階にある「きると」の作業場へ取材に伺ってきました。
ずらりと並んだベルトコンベアの両側に社員が並び、次々に流れてくる資源化物からリサイクルの対象ではない異物をスピーディーに取り除いていました。ベルトコンベアは、ペットボトル・空き缶類が各1ライン、プラスチック製容器包装が4ラインと、計6ラインに分かれていて、それぞれ班単位で業務を遂行しているとのこと。休憩後に仕事を再開する際には、黄色い腕章を付けたリーダーを中心に「エイエイオー!」と声を出して士気を上げている姿が見られ、生き生きと働いていることが伝わってきました。

プラスチック製容器包装によく混入する異物は、歯ブラシ、電化製品、乾電池、汚れたプラスチック製容器包装などで、分別間違いが原因です。「異物の種類はとても多く、大量の資源化物の中から異物をパッと見分けて取り除いたり、その異物を種類ごとに正確に分別するには、かなりの集中力と判断力が必要なんですよ。」と、「きると」の高橋部長が教えてくれました。
中には注射器など、とても危険なモノも入っているそうで、細心の注意を払いケガをしないように作業しています。私たち市民一人ひとりが正しくごみの分別をしなければいけませんね。

伝えたい想い

市民から「障がい者の働く場所がない」との要望を受け、平成20年度(2008年度)に策定された「豊中市伊丹市クリーンランド(仮称)リサイクルセンター整備基本計画」では、障がい者の就労に関する方針が盛り込まれました。

これを受け、豊中市、伊丹市、クリーンランド3者の協働により、両市の障がい福祉に係る団体や支援機関、行政が連携し、施設で資源化物の手選別事業を受託できる組織を創設することになりました。さらに検討の結果、「自分たちで利益を出すために前向きに働く姿勢を持ってほしい」との思いから、法人の設立が決まりました。
続いて設立準備会が開設され、事業計画の策定、障がい者に作業指導を行う指導員の雇用や実習などでの指導、障がい者社員の募集・面接・採用といったさまざまな準備段階を経て、平成23年(2011年)3月に「株式会社きると」が誕生し、8月に正式に事業を受託、平成24年(2012年)年4月から本稼動しています。

それから3年近く経った現在、誰一人として退職者は出ていないとのこと。「障がい者の子どもを持つ親の一番の心配は、やはり子どもの将来です。「きると」は大阪府の最低賃金を下回らない賃金を支払い、社会保険にも加入しているので、ご家族はとても安心していると思います。」という高橋部長の説明に続き、「労働条件はもちろんですが、「きると」では社員が働きやすい環境づくりをとても大切にしていて、いつも感心しているんですよ。」と、クリーンランド職員の森本さんが、豊中伊丹スリーR・センターの業務を管理する立場から語ってくれました。

たとえば、作業時は指導員が一緒に作業をしながら、一人ひとりの異物を見つけ出す能力や集中力、作業スピードなどを見極めて、適材適所の配置や社会人としてのマナー指導を行うなど、安全かつ円滑に作業ができるようサポートしています。
また、社員のやる気を持続させるために、個人の状況や能力に合わせて、毎月「集中力を切らさないようにする」といった目標を立てて、休憩室にスローガンを貼ってみんなで確認するという工夫もしています。

他にも日帰りバスツアーといった社員旅行を行うなど、社員を大切にする社風、さらに「社内だけでなく、豊中伊丹スリーR・センターで働く他社の職員にも名前を覚えてもらって合同朝礼時や食堂で声をかけてもらったりと、かわいがってもらっているんですよ」と、高橋部長がうれしそうに話すように、職場全体の暖かい雰囲気が、働き続けたいと思わせる居心地のよさを生んでいると感じました。
そして、こういった工夫は業績にも反映されています。企業である以上、どれだけ異物を除去し、品質の良い再生資源を供給することが受託業務の達成度に影響するため、各社員のスキルアップが常に求められますが、日本容器包装リサイクル協会が実施するプラスチック製容器包装ベール品質評価において、95%の容器比率を達成するなど、日ごろの努力が実っています。

自立するのが難しい知的障がい者の安定した雇用と、生活環境の保全と資源の有効利用に貢献するリサイクル事業が結びついた「きると」の取組みは、全国からの視察も多いそうです。
こういった施設がどんどん増えて、障がい者の雇用の場が広がっていくといいですね。

取材日 2014年12月26日

 

活動日

月~金曜日 8:15~16:15

連絡先

(リサイクル事業部)
〒561-0806 大阪府豊中市原田西町2-1
豊中市伊丹市クリーンランド
リサイクルプラザ3F
TEL:06-6842-1125  FAX:06-6842-1126
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