活動内容

生活する上でとても重要にもかかわらず、相談となると敷居が高いと思われがちな不動産問題。税理士や弁護士、カウンセラーなど専門家が集まるワンネスは、2009年から行政と連携して高齢者やその家族が気軽に相談できる無料の住み替え相談会を開いています。現在は各老人福祉センターはじめ市内6か所で開催し、「住居トラブルの駆け込み寺」となっています。

それまで離婚や相続といったさまざまな問題を扱うよろず相談会を開いているうちに、老後の住まい探しや入居拒否など、高齢者の不動産問題の深刻さに気づいたそうです。そこで、一人暮らしが不安になったり、終の棲家を探したいという高齢者が、住まいを安定させて安心して暮らすための支援を目的に、高齢者の住み替えに特化した相談会を始めました。連携先も、市のまちづくり総務室、高齢支援課、高齢施策課、コミュニティ政策室との協働でスタートし、その後障害福祉課や民間事業団体等も加わりました。このように複数の部署・団体と連携することで、横のつながりが実現するだけでなく、行政との協働事業ということで、相談へのハードルが低くなっているとのこと。


これらの相談会で相談を受け、必要に応じて専門家につないでいるのが、ライフサポーターです。ワンネスでは2012年からライフサポーター養成講座を開き、相談を受ける相談員の育成を行っています。講座では不動産の知識はもちろん、傾聴や福祉制度、後見人制度、税金などについても学びます。講座修了後も月に1回の実践会議があり、事例発表などを通じて新しい制度や法律の知識、相談への対応といった情報共有をしています。昨年度卒業して相談会で活躍中のサポーターたちは、「ちょっとした知識で防げる問題もあるので、もっと勉強して知識や考え方を身につけて、相談者が人生の終わりを安らかに過ごすために、一緒に問題を解決していくとともに、自分も成長していきたいですね」と熱い気持ちで相談会に臨んでいます。

ワンネスは、さらに高齢者住宅の情報を無料で掲載する「シニアハウジング情報」の運営やケアマネージャーによる「健康・介護」相談会を実施するほか、サービス付き高齢者向け住宅やあんしん賃貸支援事業等諸制度の普及にも努めています。

この相談会や養成講座をはじめ、ワンネスが大切にしているのが「ハート」や「傾聴」です。年金や介護福祉、法律問題などさまざまな要素が絡む不動産問題ですが、相談会では1人30~40分かけて丁寧に話を聞き、思い込みや問題点を順番にほどいていくことで、生活保護や介護の申請など解決策が見つかるそうです。また、不動産についての相談を糸口に、人生相談になることもしばしばで、話をじっくり聞くだけですっきりして帰る相談者も多いとか。「とにかく孤独感や漠然とした不安な気持ちに対して“大丈夫ですよ”とお伝えすることも大事ですね」と、理事長で不動産の専門家である望月さんがワンネスのモットーを語ってくれました。

伝えたい想い


「地域で役に立てれば」と相談会を始める以前は、望月さんを中心に、*パーマカルチャーや*代替医療、まちづくりなどについて勉強会を開いていたワンネス。めざしているのは、自然の中で自給自足で暮らし、考え方や立場の違いを越えてどんな人でも受け入て支え合う、ホリスティックなコミュニティとのこと。

実は、「高齢者の住み替え相談会」で行政や市民と出会うことで、「理想の終の棲家を自分たちで作れるのでは?」と手応えを感じ、すでに大阪市立大学と連携してワークショップを開き、豊中でシェアハウスの運営を検討し始めています。ESDの理念にも通じる、ワンネス理想の社会が実現する日が楽しみですね。

*パーマカルチャー…パーマネント(永久な)とアグリカルチャ-(農業)あるいはカルチャー(文化)を組み合わせた造語。オーストラリアのビル・モリソンとデビッド・ホルムグレンのふたりによって構築された、より永続的な、より持続可能なライフスタイル。

*代替医療…鍼灸やアーユルベェーダといった東洋由来のものから、カイロプラクティックなど西欧に起源を持つ医療まで、近代西洋医学の代わりに用いられる医療。

取材日2013年10月9日

 

連絡先

特定非営利活動法人ワンネス
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