『コト⇄コト』は、コト(モノや行動)の交換をとおして、新たな交流や助け合いが生まれることを目指している市民活動団体です。とよなか地域創生塾*1)で「交換」をテーマに集まったメンバーによって2018年に結成されました。今回は豊中駅近くにある久保公園のイベントに出展していた『コト⇄コト』の寺田さんと寺脇さんにお話を伺いました。
活動の様子
『コト⇄コト』の主な活動は、「物々交換」ならぬコト交換会の実施です。コト交換会とは、参加者が提供したいコト、提供してほしいコトを持ち寄り、交渉を通してコトの交換をするイベントです。これまでに「網戸の張り替え方教えます」や「ゆずの収穫を手伝ってください」など、個性あふれるコト交換が行われてきました。
寺田さんがこれまでの活動を振り返って「参加者の人たちが一番喜ぶ瞬間は、自分が相手に何かをしたことで、相手が喜んでくれた時なんですよね。何かをすることで喜んでくれる人がいることが自分自身の喜びにつながる。これは活動を始めてから気づきました」と言うように、期待以上の成果があったようです。
今年度、コト交換会はコロナウイルスの影響で実施できていませんが、コロナ禍でもできるイベントは活発に行っています。この日、久保公園で行われたイベントではマスクケースづくりを出店。公園の角に出展された屋台には、色紙やビーズなど色とりどりの材料が並び、子どもたちも興味津々。少し恥ずかしそうに近づきながら、「マスクケース作りたい!」と笑顔で申し込んでいました。
実はこの日のマスクケースの材料は、ほとんどが地域の方や他団体から譲り受けたものだそう。寺田さんは、「これも地域で必要がなくなり、捨てられる運命だったものをコト交換でいただいてきました」と笑顔でした。
大切にしている想い
活動で大切にしていることは、交換の際に「お金を扱わない」ことです。お金は良くも悪くも、数字という客観的な価値のみで表されます。『コト⇄コト』では、そんな数字では表現しきれないコトに気づき、各々の価値観を尊重することを目指しています。
寺脇さんは、「単にものやお金を交換するだけでなく、そのものの背景にあるエピソードも一緒に贈ってもらうようにしています。そうすることで、前の人の想いが次の人に伝わり、人と人が深くつながっていけるのではないかと考えています」と話してくれました。
インターネットが発達し、人と人がかかわらなくても情報が得られるようになった一方で、人と人のつながりが希薄になっている現在、『コト⇄コト』の活動は人と人のつながりを再構築する挑戦的な試みです。皆さんもお金には置き換えられない新たな価値の発見を体験してみませんか?
*1)とよなか地域創生塾:とよなか地域創生塾は、地域の課題解決を担う人材を育成することにより、地域の魅力を高め、地域の未来を創造していくことをめざした新しい学びの場です。
取材期間2020年11月23日
連絡先
コト⇄コト 代表 寺田美樹
URL:https://peraichi.com/landing_pages/view/kotokotokoukan/
E-mail:kotokotokoukan@gmail.com