庄内駅を出て商店街に入り5分ほど歩くと、右手に黄色の看板が印象的な『とよなか縁結実』が見えてきます。引き戸の玄関から建物の中に入ると、そこには木のぬくもりを感じる広々とした部屋が。絵本やホワイトボードだけでなく、キッチンまで完備しています。今回はそんな『とよなか縁結実』の重田さんにお話を伺いました。

活動の様子

『とよなか縁結実』は地域包括ケアシステム・豊中モデル※の実施のため、2018年に設立されたコミュニティスペースです。看護師が常駐し、高齢者から子どもまで地域の方が心や体の健康をいつでも相談することができます。

縁結実で行われている活動は、地域の方の好きなことやできることをみんなで一緒にやってみる「おてほんバトン」や、心も体もリフレッシュできる「ケアリングヨーガ」、高齢者向けの「スマホ講座」、さらには「ハープ演奏会」など、多岐に渡ります。多くのイベントが初めての人でも楽しみながら参加することのできるものになっています。
しかし、できたばかりのころは今とは異なる形でイベントを企画していたと重田さんは言います。「私たちの目標は地域の皆さんに生き生きと生活してもらうこと、そして健康を自分事にしてほしいということです。ですから最初は、健康相談会や血圧測定会などを開催していました。でも、全然来てくれる方がいなかったんですね。その反省を踏まえて、誰でも参加しやすく楽しめるイベントを企画して、その中で来てくださった方の体調の変化などを聞くようにしたんです」。
このように方向転換をしたことで、各イベントに参加する人数が増えただけでなく、継続的に足を運ぶ人が多くなったそうです。そしてイベントでの雑談の中から、参加者の「最近血圧高いんだよね」といったサインを聞き逃さずに、専門の医療機関を紹介したり、日ごろから気を付けることのアドバイスができるようになりました。

また、地域の方が縁結実のスタッフと一緒にイベントを企画することも増え、ご高齢の方が生き生きと生活できる環境も整ってきています。

大切にしている想い

活動において大切にしていることは、「医療や介護の情報を知らない人が遠回りせずに適切なサービスを受けることができる社会づくり」です。
ご自身も看護師の資格を持つ重田さんは、「普段、介護や医療は生活とかけ離れていて、いざ病気にかかったときに調べ始めることが一般的です。その際に、適切な情報を得て、その人に合った医療を受けるには、自分で探すだけでは時間がかかることがほとんどです。そんな時、知っている人が近くにいたり、ここに行けば情報を得ることができるといった場所があれば、状態が悪化する前に専門機関を受診することができます。縁結実をそんな場所にしていきたいと思っています」と話してくれました。

高齢化が進み、医療や介護の形も変えていかなければいけない近年、医療従事者が地域にでるという先進的な取り組みをされている『とよなか縁結実』。皆さんも『とよなか縁結実』で、楽しみながら健康について考えてみませんか?

(取材日 2021年10月29日)

連絡先

とよなか縁結実
https://toyonakaenyoume.jp/

※地域包括ケアシステム・豊中モデルとは、医療や介護と市民をつなぐことで、誰もが住み慣れた自宅や地域で自分らしく暮らせることを目指す政策のこと。
豊中市地域包括ケアシステム推進基本方針 
地域共生社会をめざして~希望に満ちた未来の創造へ
https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kenko/chiiki/chiikifukushi/kihonhousinn.html