あるときはパソコンや漫画もそろった子どもの学習スペース、あるときは着物姿の和紅茶インストラクターが淹れる国産紅茶を楽しみながらおしゃべりできるカフェ、あるときはアゼルバイジャン人から母国のお話を聞く異文化交流会(終了)、あるときは看護師とおしゃべりできる街の保健室…。さて、その正体は!?答えは、なんとグループホーム※「いきいき東豊中」の居間兼食堂と玄関前、その名も『ななーるカフェ』です。地域の人たちが交流できる場所として、2021年の夏から無料で貸し出しを行っています。

活動の様子

取材に伺った日は、玄関前のスペースに、出張きまぐれ駄菓子屋『ちいさな駄菓子屋あいちゃん』が出店中。幼稚園帰りの親子が自転車で訪れたり、通りすがりの若者がふらりと立ち寄って品出しを手伝ったり、入所者の男性が懐かしいお菓子を買いに出てきたりと、さまざまな人たちが気軽に集っていました。

『あいちゃん』の店主である吉村さんは、以前、金沢市で不登校児などいろいろな子どもの居場所となっていた駄菓子屋を営んでいたそう。吉村さんが話しかけると、お母さんの後ろに隠れていた子どもも恥ずかしそうに応じていました。また、娘と訪れるのは3回目という女性は、チラシを見て他のイベントも気になっているので、ぜひ参加してみたいと話してくれました。
室内のイベントは参加者が少ないこともあるそうですが、ドアを開けて開催したり、かわいい看板を出したりするなど試行錯誤を繰り返しながら、ななーるカフェの存在も少しずつ地域に知られてきているようです。

大切にしている想い

ななーるカフェを企画している鈴木さんは、「いきいき東豊中」を運営するNPO法人いきいきライフ協会と、ななーる訪問看護ステーションの地域連携室スタッフを兼務しています。「私自身ここで働くまで認知症について詳しくなかったのですが、実際はみなさんとても穏やかで会話も楽しいことに気づきました。」と話す鈴木さん。そこで、ホームの中に地域に開かれた場所をつくり、認知症への偏見や誤解をなくしたいという思いから、無料のレンタルスペースである『ななーるカフェ』をスタート。豊中駅北口にある市民活動情報サロンの登録団体となり、ななーるカフェを告知することで、「和紅茶インストラクターの資格を活かして高齢者が出かけて楽しめる場を作りたい」と考えていた田代さんの「ほっこり和紅茶の会」につながりました。

また、「子どもの時から自然に高齢者と触れあってほしい」と、市内の子どもの居場所ポータルサイトにも登録し、「ななーる学習スペース」として子どもたちに開放しています。今後は学習指導の方とも協力して、子どもたちの学びの機会もつくっていきたいと計画中だとか。
年齢を問わず、地域の人々が気軽に立ち寄れる場所として開放されたグループホーム。気になるイベントがあったら、ぜひ一度参加してみてくださいね。

※グループホーム…認知症の方のみを入居対象とし、専門スタッフの援助を受けながら5~9人で共同生活する小規模の介護施設

(取材日 2022年5月25日)

活動日

イベントによる(ななーる学習スペース:火曜〜金曜 15時30分~17時30分)

連絡先

グループホーム いきいき東豊中
住所:豊中市熊野町3丁目3-47
電話:06-6842-0603
http://www.iilife.or.jp/category/nana-r-care/