とよなか市民環境会議(会長 豊中市長)では「とよなかエコ市民賞」を創設し、2007年度から市内で環境負荷の低減や、自然との共生、快適環境の創造といった取り組みの中から、継続した活動実績や顕著な功績が認められる団体の活動を表彰しています。今回も、刀根山高校と同じく、「エコ市民賞」を受賞した学校の活動の紹介です。
ユネスコスクールとは
ユネスコ憲章に示された理念を学校現場で実践するために、1953年に発足したASPnet(Associated Schools Project Network)。現在、世界180カ国で約9,000 校が加盟しています。
日本では、ASPnetに加盟を承認された学校を「ユネスコスクール」と呼んで、ESDの準拠点として加盟校増加に取り組んでおり、2013年11月現在、647校の幼稚園、小・中・高等学校、教員養成学校が加盟しています。各校はグローバルなネットワークを活用して世界中の学校と交流することにより生徒間・教師間での情報や体験を分かち合い、地球規模の諸問題に若者が対処できるような新しい教育内容や手法の開発・発展をめざしています。
豊中市内では現在5校の小中学校がユネスコスクールに加盟していて、各校はそれぞれの教育方針や特色を生かしながらユネスコスクールとしての取組みを実践し、とよなかASPネットワークとして情報を共有し、連携するとともに、取組みの情報発信も行っています。
第二中学校の取り組み
2012年にユネスコスクールに加盟した第二中学校は、国際理解教育や、東日本大震災の被災地である気仙沼市との交流、そしてドイツ発祥の省エネプログラム「フィフティフィフティ活動」注*1)などに取り組んでいます。
注*1)フィフティフィフティ活動とは・・ドイツ発祥の光熱水費節減分還元プログラムのこと。日本では、公立学校において、省エネを努力し光熱水費を削減した場合に、予算還元するしくみを総称して言う。
国際理解では、タイやパナマ、アメリカなど世界各国から大阪大学に留学中の外国人に自国の文化や遊びを紹介してもらったり、2011年に大地震が起こったニュージーランドのクライストチャーチ市にあるカンタベリー大学教育学部学生の授業見学やホームステイの受け入れ、インドネシアの中学生との交流など、直接外国人と触れ合える機会を積極的につくっています。
また、北京で行われたパラリンピックで得点王に輝いた車椅子バスケットボール選手の網本麻里さんによる国際理解と障がい者理解の視点からの講演や、アメリカ人で凄まじい「いじめ」を経験しながらも、母親や教師の励ましを糧に努力し、フライパン曲げのギネス記録保持者となったジョン・プリティキンさんによる英語での「Never give up!」というメッセージとパフォーマンスといった企画も実施しています。
気仙沼市との交流は、2012年1月にテレビ会議システムを利用して市立松岩中学校の校長先生から震災当時の様子を話してもらったのに続いて、2月には教育委員会の教師を招いて被災地の状況など生の声を聴く「命の大切さの授業」を実施。10月には、PTA北部ブロック研究大会に松岩中学校の校長先生が駆けつけて、「被災から希望へ」と題して講演を行いました。そして2013年には、逆に第二中学校の教師が松岩中学校を訪問するなど、継続して進めています。生徒たちは、ニュースなどでは報道されない同世代の日々の生活の様子や気持ちを知ることで被災地に強く心を寄せ、豊中駅前の広場等で松岩中学校のために募金活動を始めました。生徒達の熱い思いが伝わったのか、震災から時間が経ちニュースも少なくなっているにもかかわらず、2013年度には2012年度を上回る金額の募金を集めることができたそうです。
フィフティフィフティ活動については、2月に行われる豊中市国際教育フォーラムにて、その成果を韓国やニュージーランド、気仙沼市の学校とともに発表します。2014年度にレポートしますので、こうご期待!
取り組みがめざすもの
これらの取組みを主導しているのが、校長の田中敬三先生です。
国際理解プログラムでは、「生徒には、自分が経験できなかった体験をしてもらいたい」という思いから、阪大の留学生など自身のネットワークを駆使して講師を見つけています。また、ただ話を聞くだけでなく、生徒とお弁当を一緒に食べるなど、直接触れ合える時間を設けるといった工夫をしているそうです。PTAのみなさんも「子どもがその国の文化やニュースに興味を持った」「言葉がなくても仲良くなれると実感したみたい」「英語の勉強をがんばろうと思ったようです」と、生徒たちの変化を実感していると話してくれました。
気仙沼市との交流も、校長が2011年11月に気仙沼で開催されたユネスコスクールの会議に出席した際に、松岩中学校を訪ねたのがきっかけだそうです。教師の派遣についても、できるだけ今後の教師生活が長い若手を選んでいるとか。
このような、生徒や教師、PTAなど地域を支える人たちが世界の諸問題や地球の未来に目を向けたり、被災地に思いをはせたりするきっかけとなる第二中学校の取組みの継続はもちろん、豊中市でユネスコスクールがもっと増えることを期待したいですね。
取材日 2013年12月15日
お問い合わせ
第二中学校 06-6843-5288
環境政策課 06-6858-2128
学校教育課学力向上係 06-6858-2847