活動内容
1989年に大阪府のオーケストラとして「大阪センチュリー交響楽団」が発足。豊中市との関わりは、1992年、服部緑地のオーケストラハウスに拠点を移したことから強まりました。2011年4月に大阪府より自立化(民営化)し、日本センチュリー交響楽団として新たなスタートを切ることに。
現在は、55名の楽団員で年100回ほどの演奏をこなします。また、青少年のためのオーケストラ体感コンサート「タッチ・ジ・オーケストラ」や特別支援学校コンサート、など、次世代への教育プログラムに加え、「豊中まちなかクラシック」などといった地域連携事業にも力を入れています。
活動の様子
「The Work」は、2014年に始まり今年で3年目となる音楽プロジェクトです。約3ヶ月間、全12回のワークショップを通じて、就職活動中の若者が、音楽創作活動や「働き方」「生き方」を考える活動に取り組みます。
このプロジェクトは、作曲家/ピアニストとして活躍する野村誠さんがファシリテーターを務めます。野村さんは、オーケストラの中から参加を希望した6名の楽団員と若者たち、それぞれのいいところを引き出しながら、心地よく、時にはドラマティックにワークを進めていきます。取材に訪れたのは、第5回目。楽団員が前半のワークショップを担当する回でした。野村さんと楽団員の熱のこもった打ち合わせの後、若者達を会場に迎えます。それぞれ好きなグループに分かれて、朝の目覚め、昼の明るさ、夕暮れそして深夜へ、といったストーリーを音で表現していく中で、徐々にメンバーの緊張がほぐれていきます。短い創作時間でしたが、一人ひとりが主役となって奏でるハーモニーは、美しさだけでなはない力強さを感じました。
また、このワークショップは、日本センチュリー交響楽団と若者の支援を続けているNPO法人スマイルスタイルが一緒に取り組んでいます。音楽創作ワークショップと連動しながら、「働くこと・生きること」について考えを深め、社会で生きることの価値観を探っているそうです。
ワークショップも終盤を迎えた2016年7月20日。庄内にあるローズホールにて、音楽創作活動の成果が披露されました。前回取材した時のワークショップでは、少々不安げな表情の若者達でしたが、ステージでの演奏は別人のよう。楽団員の演奏に導かれながら、さまざまな楽器を使って、楽しさやうれしさを身体で表現している姿が印象的でした。
そもそも日本ではオーケストラの価値が、なかなか一般の市民に行き渡らない現状にあることを課題として受け止め、さまざまな表現方法の一つに「音楽」という手段もあることを知って欲しいというねらいから始まったこのプロジェクト。コンサート以外で、オーケストラが社会とどうつながるかを検証することも、大きなチャレンジの一つだそうです。
伝えたい想い
マネージャーの柿塚さんは、「若者達が、音楽で自分を表現することにより、自信を取り戻したり、自己肯定感を育むことで、社会の中で生きることの価値を見出して欲しい」と話します。また、若者と一緒に取り組むことで、オーケストラの楽団員も多くのことを学んでいるそうです。楽団員がワークショップを構成・進行する企画についても、回を重ねる度に楽団員の成長が感じられるとのこと。相互に工夫を積み重ねながら、若者も楽団員も、そこに関わるスタッフも互いに成長してきているのではないかと話してくれました。
2016年、センチュリー交響楽団は、豊中市立文化芸術センターの指定管理事業にも携わります。ホールの業務に携わる中で、「オーケストラがもっと身近な存在になれるよう、そして困った時に声をかけて相談してみよう!と思ってもらえるような楽団になりたい」と柿塚さんは語ってくれました。新しい時代のオーケストラとして、これからも地域と共に発展していってほしいです。
取材日 2016年6月10日
連絡先
公益財団法人 日本センチュリー交響楽団
〒561-0873 大阪府豊中市服部緑地1-7
Tel06-6868-3030
http://www.century-orchestra.jp/
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