活動内容
豊中市向丘にある、ほのほ助産院で出産したお母さんたちと助産師さんで2007年に結成。幼稚園や育児サークルのイベント等で、南京玉すだれや寸劇、人形劇をまじえた「いのちのお話」を上演し、メンバーが「自然なお産」体験で感じた「いのちの力」を伝えています。最近は小学校の授業に依頼されることも多く、子どもたち自身が「いのちの大切さ」を考えるきっかけづくりをしています。
活動の様子
今回取材にうかがったのは、子育て支援センター主催の「いきいき子育て講座」での公演。0~3歳のお子さんとお母さん14組と、栄町保育所の5歳児の園児19名が集まりました。オープニングの南京玉すだれでは「赤ちゃん、どこから生まれるの?」という歌に合わせて、コウノトリやハートを作って楽しい雰囲気に。次は妊婦さんと助産師さんの健診の寸劇です。
「赤ちゃんの最初の大きさはどのくらいかな?」といったクイズあり、胎児の心臓の音を聴くシーンありと、子どもたちも夢中で見入っていました。帝王切開についても、「いのちの扉」という言葉で説明がありました。続くオリジナル人形劇「まっててね」では、羊毛で作った赤ちゃんと子宮・へその緒を使って、赤ちゃんの誕生シーンが表現されました。赤ちゃんがいのちの道(産道)を通ろうと悪戦苦闘する姿に、2歳の子どもが立ち上がって「がんばれー」と声援。続いてみんなも口々に応援し、無事生まれたときは拍手が起こりました。
公演後はグループに分かれて感想を話し合う時間。参加者からは、「子どもが生まれたときのことを思い出して、思わず涙が出ました」「帝王切開で生んだことに罪悪感を抱いていたけれど、“良かったんだ”と思えました」といった声が聞かれました。それに対して助産師さんからは、「生まれたときの話をしてあげると、きっと思春期に思い出すことがあると思います。今日は子どもをギュっと抱きしめてあげてくださいね」とアドバイスもあり、和やかに終わりました。
伝えたい想い
1276座のメンバーは、胎内の胎児の生活や妊娠中のお母さんの気持ちを表現することで、「ここにいるみんなが生まれる前から大きな力を持っていたんだよ」という想いを伝え、温かい気持ちや自尊感情を育んでもらいたいと活動しています。また、1276座という名前には、「出産に感動した私たちが、これから赤ちゃんを産む女性と助産師さんによって生まれる“いのちの力”を伝えることで、地域が“1276(ひとつになる)”という願いを込めています」と、座長の古宇田(こうた)ちえさん。老若男女誰が見ても大切な何かを感じられる公演をめざしています。
今後は、中学生や高校生向けにも公演を行いたいそうです。
取材日 2011年7月13日
再訪問
1276座が、産後6ヶ月未満の母子対象の新しい取組みを始めたと聞き、うかがってきました。
『ママになった記念祭~おめでとう!お母さんになった私~』という企画で、健診の寸劇と誕生の人形劇、参加者全員で行う「ママの産道くぐり」を通して、毎日赤ちゃんの世話に追われている母親たちに、妊娠中や出産したときのことをじっくり振り返る機会を提供しています。
産道くぐりは、「赤ちゃんの誕生と同じように、お母さんもいくつもの困難を乗り越えて“お母さん”になった」ことを実感するためのプログラムです。産道にみたてて参加者全員でつくった道を順番にくぐってきて、出口で自分の赤ちゃんとご対面すると、どの母親も笑顔がはじけていました。
最後はグループトークで、妊娠中や出産時の思い出をそれぞれ話していました。中には「帝王切開になって後悔している」「陣痛促進剤を使いたくなかったけれど、医者に強く言えなかった」といった辛かったエピソードも出ていました。
参加者が、「誕生劇では久しぶりに出産時を思い出して、胸がいっぱいになりました」「妊娠中・出産時に感じたことを、いいこともイヤなことも話すことで、スッキリしました」と、みんな明るい表情で帰っていったのが印象的でした。
この取組みは、これまでの活動の中で、妊娠中・出産時に病院の対応や医療処置、家族の対応から受けた心の傷が元になって産後ウツになる母親の存在に気付いたことから生まれたそうです。「辛かった思いを話すことで手放し、自信をもって子どもと向き合ってもらえたら」と、座長の古宇田(こうた)千恵さん。また、そういった「お産トラウマ」について知ってもらいたいと、助産師や看護師、産科医など子育て支援に携わる方対象の「出産体験の傾聴講座」も開催しました。参加者からは「はじめて“お産トラウマ”というものを知り、傾聴の大切さに気づきました」「今日学んだことを仕事の場で活かしたい」などの反応があり、手応えを感じたそうです。
「今後は、イベントに出てこられないほど傷ついた母親にもアプローチしていければ」と、お産トラウマにまつわる活動もより深めていきたいと語ってくれました。劇団がめざす「子どもの自尊感情を育む」ために、1276座の活動はますます進化していきそうです。
取材日 2014年10月29日
活動日
随時
連絡先
古宇田(こうた):090-4903-8897
1276-za@excite.co.jp
(HP)http://1276.web.fc2.com/
(ブログ)http://the1276kh.exblog.jp/