7月の第2日曜日、豊中駅から徒歩二分の場所にあるカフェ・サパナには老若男女問わずたくさんの人が集まっていました。この日は『フードバンク豊中』が開催する無料での食料支援の日です。感染症対策がしっかりと行われた店内に入ると、そこには優しい照明に照らされた色とりどりの野菜やインスタントの食材が。食料品を受け取りに来た人たちはそれぞれ必要なものを手に取って持ち帰っていました。
今回はそんな『フードバンク豊中』の代表の池田さんとスタッフの皆さんにお話を伺いました。
活動の様子
『フードバンク豊中』は豊中退職教職員の会、新日本婦人の会豊中支部など、合わせて6つの団体の有志によって2021年2月から活動をスタートしたフードバンク※です。これまで2021年2月と4月に豊中市南部地域で食料を行っており、今回3回目となる活動は市の北部で初めて開催しました。毎回の活動では、地域の方から食材を集めたり、いただいた寄付金で食料品を買ったりして当日配布する食材料を用意します。その後、食料支援の日を決定したのちにチラシを周辺地域に配り、必要な方へ情報を届け、当日受け取っていただけるように準備をするそうです。
池田さんによると、活動を始めたきっかけの一つに新型コロナウイルスの流行が挙げられるとのこと。「私たちが教員だったころの教え子が今大学生になり、コロナの影響で困っているという声が耳に届くようになりました。教え子が困っている中、私たちに何かできないだろうかと考えた結果、『フードバンク豊中』の活動が始まりました」。実際に、食料品を受け取りに来られている人の中には若い人が多く、中にはコロナが原因で失職して求職中という外国人の若者の姿もありました。24人から回答のあったアンケートでも、11人が「コロナの影響で収入が減少した」と答えていたそうです。また16人集まったボランティアの中には大学生もいて、「ニュースでは見ていたけれど、実際にこれだけ多くの方が困っていると知り、びっくりした」と話してくれました。
この日食料支援に来たのは47名。2回目の利用という女性は、「コロナで仕事がうまくいかず生活に困っていたので、『フードバンク豊中』さんの活動は本当に助かっています」と笑顔でした。この日持ち帰ったのはキュウリやジャガイモなどの野菜に加えて、主食のお米や子どものお菓子など、約一か月分。少しほっとした表情で帰宅される姿が印象的でした。
大切にしている想い
池田さんが活動を行う上で大切にしているのは、「自分たちができることをまずはやってみる」ということです。コロナのような前例のない状況において、多くの人が新しいことをせざるを得なくなりますが、やったことのないことにチャレンジするのは勇気のいることです。それでも、『フードバンク豊中』の皆さんは、小さなことでも誰かのために行動することで望まれない状況は少しずつ変わっていくと信じて活動されていました。
池田さんは最後に、「初めは誰かと一緒にやってみることで、精神的にも体力的にも楽に何かを始めることができますよ」と話してくれました。その言葉から、困ったときにはお互いさまの精神で、みんなで協力し合って困難を乗り越える大切さを学びました。
現在は次回11月の開催に向けて準備中とのこと。皆さんも『フードバンク豊中』で新しい一歩を踏み出してみませんか?
※フードバンクとは、過剰在庫や印字ミスなどで流通に出せない食品を企業などから寄贈してもらい、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動です。『フードバンク豊中』では、地域の方などから提供された食材を生活に困っている方に届けています。
(取材日 2021年7月)
活動日 不定期
連絡先
090-3859-4529(北尾)
https://twitter.com/kmubbufzadeklz6